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一度は行くべき海外都市「モンゴル:ウランバートル」

2015年9月1日

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┃ ■  新ニュースレター No.28(乙吉 様/中国電力)
┃    (テーマ:一度は行くべき海外都市)         
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中国電力の乙吉(おとよし)と申します。
美食に興味なく,ほとんど海外旅行とは無縁の私にとって難しいテーマです
が,10回程度,行ったことがあるモンゴル国ウランバートルについて,ご紹介し
ます。
○ウランバートルの観光
・モンゴル国は,ご存知のとおり中国の北方に位置し,馬と羊,そして草原に白
いテント(モンゴルではゲル,内モンゴルではパオという)で遊牧というイメー
ジが強いと思いますが,もちろん都市部はビルが沢山建っています。ご存知のと
おりモンゴロイド系の方々が大多数(白ロシア系の方もいらっしゃいます)なの
で,顔を見ると近所のおじさんにそっくりな人もいるくらい,ものすごく親近感
が沸きます。
・観光のお勧め時期は,やはり夏です。夏の気候は北海道に近い感覚です。ま
た,夏は成田や関空からの直行便が出ており,4時間程度で行けるので,非常に
手軽に出かけられます。
・特に7月はナーダムというお祭りがあり,3つの競技会(相撲,競馬,弓射)
が行われ,沢山の観光客が訪れます。(もちろん現地の方が多い。)
・相撲はご存知,今や角界上位陣はモンゴル勢力一辺倒なほど強いですが,もち
ろんモンゴルでも非常に人気の高いスポーツです。モンゴル相撲はTVで見られた
方もいらっしゃると思いますが,服装はチョッキとビキニパンツにブーツ姿で,
土俵はなく,ひじ,ひざ,頭,背中,お尻いずれかが先に地面についたら負けと
なります。
・競馬は,子ども達が10km~30kmを走って競うレースです。日本のJRA
のイメージとはまったく異なりますが,優勝するとものすごい名誉なのだそうで
す。このため,競走馬は非常に大事に世話をしてナーダムに備えています。(こ
れは日本の馬主と同じ)
・弓射は,的に向かって弓を射るのは日本と同じですが,的は皮を編んだソルと
いう高さおよび直径が8cm程度のコップ状の物を垣状に積み上げたものです。
・ナーダムは,元々はお祭りというより軍事訓練的な色彩が強かったとのことで
す。モンゴル帝国の名残と思います。なお,残念ながら私は,ナーダムは一度も
見に行ったことはありません。興味のある方は,詳細をインターネットや旅行ガ
イドで見てください。乗馬が好きな方は,乗馬(トレッキング)ツアーもあるよ
うなので,これも旅行会社にお問い合わせください。(私は,ほとんど観光はし
ていません。)

○モンゴルの飲み物と料理
・モンゴル料理のレストランは,観光客向けを含めウランバートル市内に沢山あ
るようですが,行ってませんので,ここではホームスティ先(遊牧民ゲル含む)
の飲み物や料理を紹介します。
・飲み物として,定番はスーティツァイ(スーはミルク,ツァイはお茶)で文字
通りミルクティーです。夏のモンゴルはすごく乾燥しているので,水分補給はか
かせません。家庭によっては,塩味を効かせているので,日本人にとって飲みや
すさは異なります。それから,遊牧民のゲルを訪れると歓迎するのが慣習なの
で,その際に貴重は馬乳酒をどんぶりいっぱいに注いで出してくれます。このど
んぶりを一気に飲み干すのが礼儀ですが,日本人はとても飲めないと思います。
馬乳酒は,馬の乳を発酵させて作りますが,アルコール度数は1%未満でお酒と
いう感じはありません。むしろ,すごくすっぱいヨーグルト味と考えていただけ
ればわかると思います。一気飲みした日本の方は腹痛を起こしておりますので,
私はいつも遠慮がちに口をつける程度でどんぶりをお返ししております。なお,
ペットボトルに入った馬乳酒もお店で売っているので,お土産に持って帰りまし
たが,残念ながら不評でした。
・アルコール飲料としては,モンゴルウォッカです。寒い国であることから,お
猪口で一気飲みの風習があり,ご返杯と三回もやると私はダウンします。元々
ビール派の私にはウォッカの味はまったくわかりませんが,おみやげにもって
帰ったモンゴルウォッカは不評にて我が家の棚に長期熟成中です。ビールも手に
入りますが,ほとんどがヨーロッパや中国からの輸入でした。最近は地元ビール
も作り始めています。(それなりの味でした。) 酒に酔ったら,酔い覚ましに
草原に寝転がり,星を見るのが良いです。周りに明かりがなく,郊外は空気が澄
んでいるので,言うまでもなく満天の星と流れ星が見れます。(天文ファンは望
遠鏡を持っていきましょう。)
・さて,本題の食べ物については,遊牧民のゲルにホームスティさせていただい
たときに食べたウルムがとてもおいしかったです。ウルムは簡単に言うとバター
です。夕方,絞りたての牛乳を鍋にかけながら,何度もひしゃくですくって注ぎ
戻し,火を落すと鍋の表面に黄色い脂の層(バター)ができます。できたてのウ
ルムをパンに塗って食べると癖のない新鮮なバターの香りと味に感動です。思っ
たほど脂っぽくありません。次にゲルでの歓迎の料理は,ホルホグです。ホルホ
グは,羊一頭を丸々裁いて,焼いた石と一緒に牛乳缶(北海道で見る物と同じ)
に入れ,蒸し焼きにします。調味料は塩コショウで,家庭により野菜(たまねぎ
やにんじん系)を入れる場合がありますが,基本,羊肉がメインです。これは,
肉好きの方にはたまりません。羊一頭丸々なので,食べ応えはあります。だんだ
んと塩コショウ味に飽きてくるので,焼肉のタレがあるともっと食べれそうです
が,残念です。ちなみに脂身もたくさんあり,おいしいですが,食べすぎにはご
用心ください。欲張った方は翌日,学校訪問(けん玉交流会)毎にトイレの友達
になっておりました。ホルホグ料理の際に使った石はまだ熱く,これを体に当て
ると温熱効果で体に良いと言って配ってくれます。しかし,脂まみれになるの
で,水道のないゲルでのスティでは,ウェットティッシュの持参は必須です。私
は厚手のウェットティッシュとして赤ちゃんのお尻拭きを持っていきます。とこ
ろで,羊を裁く際に血は一滴も大地に流さないのが掟です。血は集めてハーブと
一緒に腸に入れて茹でます。お味はレバーを食べている感じでした。
・羊の焼肉料理といえば,ジンギスカン鍋を思い浮かべる方が多いと思います
が,モンゴルではあのような食べ方はしません。ちなみにモンゴル人にとって,
チンギスハーンは大モンゴル帝国を作った英雄ですので,今でも崇拝されており
ます。日本に来たモンゴル人から「なぜ羊の焼肉料理をジンキスカンという
の?」といぶかしげな質問を受けたことがありますので,ご注意ください。(チ
ンギスハーンは源義経だ!なんて事も言わないほうがよいですよ。)
・話は変わりますが,ゲルの真ん中にストーブ兼用のかまどがあり,そこで煮炊
きを行いますが,燃料は何かご存知の方はいらっしゃいますか? 日本では薪が
一般的ですが,木が少ない草原の国では,草を使います。草で燃料になる?量が
沢山いる?と不思議に思われる方もいらっしゃいますが,実は凝縮した草==>
牛や馬の糞を燃やすのです。空気が乾燥しているので,糞もすぐに乾燥します
し,臭くありません。よく見ると消化されないセルロースが沢山残っています。
これぞ,究極のエコなのです。

○終戦記念日に当って
・この原稿を書いている本日は終戦記念日なので,戦争に関係する話題を記載し
ます。モンゴルと日本の戦争は,古くは鎌倉時代の元寇を思い浮かべると思いま
すが,太平洋戦争前に一度だけ直接対決をしております。1935年にモンゴ
ル,ソ連,満州との国境にあるハルハ川付近で,モンゴルとソ連の連合軍との戦
闘が行われました。(日本ではノモハン事件と言われる。) 結果,日本軍の大
敗で終わり,モンゴル領内への侵攻はできませんでした。このためか,モンゴル
での反日感情はほとんど感じません。むしろ,大相撲を含め,アジアの経済大国
日本への憧れを持っている方は多いように感じています。
・モンゴルの方の大多数は,日本の鉄道唱歌(汽笛一声新橋を・・・)の曲を
知っています。モンゴルでは「婦人解放の歌」として,この曲に歌詞がつけられ
ています。この由来は,旧日本軍の抑留者が伝えたものと聞いています。終戦直
後のシベリア抑留は有名ですが,途中で数万人はモンゴルへも送られたようで
す。抑留者がモンゴルの鉄道建設や街づくりに強制労働させられた時に歌ったも
のと考えられています。ウランバートル近郊のダンバダルジャーの丘には,約1
千人の日本人墓地があります。1997年に初めてここを訪れた時は,整然とな
らぶ墓標しかありませんでしたが,今では公園墓地に整備されています。ここに
私の肉親はいませんが,モンゴルへ行くたびに訪問して,日本への帰還を夢見な
がら亡くなれた方々のご冥福に合掌し,平和を誓ってけん玉交流に励んでいます。


                                  以上

(文責:中国電力 乙吉 清司/ CIGRE SCD2 事務局)