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外資系企業での仕事

2022年6月28日

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 ニュースレター No.129(山口様/SCD2国内分科会委員)   (テーマ:「外資系企業での仕事」)
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OTNシステムズの山口朗子と申します。
2020年にCIGRE国内委員会に加入させていただいてから、初めて投稿させていただきます。
今回このような機会をいただき、皆さまの投稿を読み返してみましたが、その内容の多様さと面白さに引き込まれ、思わず読みふけってしまいました。

色々なお題があるなかで、海外都市のお話も楽しく読ませていただきました。私もそれなりに海外経験はあると思っていたのですが、今さらながら、特にお披露目できるようなお話が思い浮かばないことに気付きます。海外出張となると、兎にも角にも私のマインドは、(誤解を恐れずに申し上げると)「行って帰ってくるだけ」なのです。子供を抱える身で家を留守にするとなると、その前の準備や諸々の調整の方に膨大な時間と気力をとられ、気持ちは「とにかくやることをやってとっとと帰ってくる」の一色になってしまいます。そして出張先ではというと、がむしゃらに仕事をしながらでも、家や子どものことから解放され自分自身の世話と仕事だけをしていればいいなんて極楽、という気持ちにさえなります。このように考えると、出張とはいえせっかく海外の色々なところに行かせてもらっているのですから、もう少し余裕と楽しむ気持ちを持ってもいいのでは、と思えてきます。次回の海外出張では、この投稿のネタ集めと思って色々体験してこようと思います。

というわけで今回は、日本の中の海外(?)ということで、私が以前働いていた、日本国内の外資系企業について書かせていただきます。私は何回か転職をしており、外資系の企業はOTNシステムズが2つ目です。私の全くの独断であることをお断りした上で、日本国内の外資系企業の特徴らしきものについてお話させて下さい。

まず外資系企業の大きな特徴の一つとして挙げられるのが、転職が多いということではないでしょうか。この転職には、自分の意思に基づくものもあればそうではないものもあるわけですが、いずれにせよ、常に人が出入りしている、今日一緒に仕事をしている人が明日はいないかもしれない(逆も然りで、いつかは自分も出ていく側になるかもしれない)環境に身を置くことになります。出戻り(一度退職してまた復活する)も珍しくありませんし。また私がいた企業もそうでしたが、新卒を毎年採用するということをしない外資系企業も少なくありません。そのせいもあり、外資系企業の就業者の平均年齢は高い傾向があるはずです。

この転職文化の中では当然かもしれませんが、ひたすら即戦力が求められます。要するにすぐに使い物になる人材を買い物してきているわけですし、入る方も初日から「勝手知ったる」の状態です。(少なくともそう見えるように振る舞います。)ですから、時間をかけて人材を育てるというよりも、水に放り込んで勝手に泳がせる(もしくは溺れさせる)という状況になります。育てるというよりも勝手に育て、です。

ここまでお読みいただくと、外資系は非常にスピード感がありシビアというふうに思われるかもしれませんが、私がよく思っていたのは、このスピード感ゆえに「リセットが効く」環境だということです。人は日々出入りがありますし、上司や組織が四半期ごとに変わり、下手をすれば合併や買収で会社名まで日常的に変わりますから、これまでの達成やヘマなども白紙に戻して、新しいスタートを切るチャンスが頻繁にめぐってきますし、「今がすべて」なのです。これは恵まれたことのようにも聞こえるかもしれませんが、継続して努力をすることが評価されないというか、時間をかけて物事に取り組むことを尊ぶ文化とは真逆のように思えます。

そして、これはもちろん会社の規模などによりけりですが、日本の企業よりも組織がフラットで、一人に任せられる仕事の幅は広いのではないでしょうか。少数精鋭というと聞こえはいいですが、私はいつも自分のことを金太郎飴と呼んでいました。日本の会社にお打ち合わせでお邪魔すると、部長クラスから担当の方まで6名様ほどがズラッと出迎えて下さるところ、私は常に一人ぼっちで、金太郎飴のように切っても切っても山口の顔しか出てこないからです。 

また、日本のお客様と向き合う外資系企業の営業をしていると、世界中で活躍していて実績のある会社なんです、というグローバル風を吹かせる自分と、日本のビジネスのお作法や求められる品質の高さを知り尽くした、日本に深~く根付いた会社です、とやけにドメスティック感を演出する自分との間を、行き来していることに気付きます。常に2つの帽子を持っていて、時と場合によりそれらを瞬時にかぶり分けているのです。 

このような外資系企業の環境は、ダイナミックと言えば聞こえはいいが単にカオス、色々な人がいるという意味では動物園を超えてジャングル、というのが私の結論です。このような環境で何年も仕事をしていると、変化や理不尽なことへの耐性が強くなるというか、神経が図太くなり(もしくは鈍感になり)、「何でもあり」のマインドで仕事をするようになる気がします。この何でもありという精神は、不確実かつ不安定な状況でも自分を見失わず業務に臨む精神力とともに、良くも悪くもいい加減さを育みます。

最後に、これは間違いなく(数少ない)自慢すべきことの一つですが、男性と女性の区別を全く意識せず仕事ができます。これは味をしめると捨てがたい大きな魅力です。

ここまで、知ったかぶって日本の外資系企業について書かせていただきましたが、そうは言っても、私にとって2社目の外資系であるOTNシステムズは、これまただいぶ毛色が違うのです。私も入社したときに多少溺れましたし、フラットな組織で女性も大勢活躍していますが、概ねダイナミックというより地味で堅気、定期的なリセットどころか、石の上にも三年、いや五年かそれ以上、という文化です。日本人の私から見ても、日本の会社より日本ぽいのでは?と思うこともあるほどです。

当たり前と言えば当たり前ですが、同じ外資系企業でもやはりこのように大きな違いがあるとすると、それはなぜなのでしょう。一つ考えられるのは、私が以前経験した会社は非常に大きく、買収や合併を重ねてきた結果お化けのような組織になり、カオス、ジャングルという様相を呈し、そこで働く人もその環境に適応していたのに対して、OTNシステムズはとても小さな組織で、そのような波に最近まであまり揉まれずにきたということです。会社は結局は人だと言いますが、組織という環境次第で、そこで働く人も順応・変化せざるを得ないでしょうし、逆にそのような人が集まって会社を作るのですから、つまるところ会社も生き物なのですね。

いずれにせよ、異なる環境での仕事を経験できるのはとても有難いことですし、このように仕事を続けながら、老化ではなく進化し続けていけるといいなと思う今日この頃です。

お読み下さってどうもありがとうございました。

(文責:山口/OTNシステムズ)