CIGREでの海外体験(東京工業大学 河辺)

2016年5月6日

本ページでは,「私の海外体験談」というテーマで,JP-NGNのメンバーによる特集をスタートします。
JP-NGNのメンバーが,これまでの海外体験で感じたこと,独自の英語勉強法などを自由に執筆します。

私のこれまでの海外体験といえば,研究発表のための学会参加が主であるが,学会活動とは異なる経験として2010年のCIGREパリ大会への参加が記憶に残っている。当時大学院生であった私は,指導教官の代理としてCIGREの国内分科会に出席させて頂く機会が多く,そのことがきっかけでパリ大会に参加する運びとなった。パリ大会では,英国の若手技術者向けの組織であるNGN(Next Generation Network)が組織紹介や交流イベントの開催を行うという事前情報があったため,それらのイベントへの参加,各国の若手技術者との交流,若手活動に関する情報収集が使命であった。 

パリ大会の会場では,英国NGNのスタンドが設けられており,まずはこのスタンドを訪問し,待機していたSteering Committeeのメンバーから英国NGNの活動について情報収集を行った。そのとき初めて体験したのは,日本語に訛りがあるのと同じように,英語にも訛りがあるということである。スタンド訪問中、ある一人の女性メンバーから英国NGNの活動について話を聞いていた。彼女の英語は話すのが早いなと感じたが,私にとっては聞き取りやすく,こちらも日本の状況について話したり,次第にスムーズにコミュニケーションが取れるようになっていた。その様子が端からみたら楽しそうだったようで,他の英国NGNの男性メンバーが笑顔で近づいてきた。
男性メンバー:「What ○♪※□◇ ※~○□◇?」
私:「・・ん?Pardon?」
男性メンバー:「So, ○※□◇ ♪※□◇?」
私:「・・・」
・・・全く聞き取れなかったのである。そのあと少し問答を繰り返し,聞き取れた単語,フレーズもあったのだが,結局彼の英語は聞き取れず,しまいには男性メンバーが女性メンバーに対して,「お前らは何語で話していたんだ?」と質問していた(冗談ではなくまじめに)。そんな失敗もありながら,パリ大会中はいくつものイベント,会議に参加し,顔見知りの各国若手技術者が何人かできた。最終日の夕食会では,そうした若手参加者とお酒を交えて交流した。お酒が入ると,昼間には話題にのぼらないことで盛り上がり,距離が近づくのは世界共通である。パリ大会では何人かの顔見知りをつくることができ,互いに再会を誓って日本に戻った。

このとき出会った学生メンバーは,大学や研究所の研究者としての道を選んだ人が多く,幸いなことに今でも学会活動で一緒になることが多い。彼らも当時,ドイツやロシアなどから,私と同じようにそれぞれの使命をもって若手技術者の枠で参加しており,パリ大会ではそれなりの苦労をしていたようである。その共通の経験が互いの絆を強くしたのか,今でも友人関係が続いている。

上記のパリ大会への参加や,その他の海外体験でこれまで感じるのは,海外の若手技術者の積極性である。英語を母国語としない国の出身であっても,積極的に他国の技術者に話かける姿は,日本の若手技術者にはあまり多くない姿であると思う。当然のことではあるが,海外の全ての若手技術者が英語を流暢に話せる訳ではなく,上記パリ大会に参加した際も,英語での会話力を高めなければいけないと感じたと話す若手技術者とも出会い,自分だけではないんだと思った記憶がある。若手技術者にとって,CIGREを通じた海外活動は技術的な情報収集の場に留まらず,自身のコミュニケーション力を自覚し,研鑽するいい機会であると思う。そのため,産業界に就職した若手技術者にとってだけでなく,学生を始め,大学関係者にとっても有意義な活動の場であることも強調したい。現在は,わが国でもJP-NGNが発足し,35歳以下の若手技術者,学生にも参加機会が与えられており,この場を利用するのも一つの方法になろう。

東京工業大学 河辺賢一